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【医療費助成が受けられる】特定医療費(指定難病)制度とは?

 
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群馬県嬬恋村にある訪問看護ステーションのぞみです。2015年7月に開業しました。訪問対象地域は嬬恋村・長野原町・草津町です。雄大な浅間山がある自然豊かなこの地域で「自分らしく生きたい」と願うご利用者の療養生活やそれを支えるご家族の支援を主治医の指示のもとで行っています。
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こんにちは。訪問看護ステーションのぞみです。(@houkan_nozomi)

 

突然ですが、「特定医療費(指定難病)制度」という制度を皆さんご存知でしょうか?

 

特定医療費制度とは厚生労働省に指定された難病にかかわる医療費の一部が助成される制度のことです。

訪問看護ステーションのぞみのご利用者のなかにも、この特定医療費制度を利用している方もいますが、

特定医療費制度は初めて聞く制度だけど、実際にどんな制度なんだろう?どんな人が対象になるの?

読者さん

と疑問を持つ方も多いと思います。

 

そこで今回は、医療費助成が受けられる特定医療費制度について解説します。

 

特定医療費(指定難病)制度とは何か

特定医療費制度とは「難病の患者に対する医療等に関する法律」にもとづき、厚生労働大臣がさだめた指定難病について治療にかかる医療費の一部が助成される制度です。

 

対象者は原則として指定難病の診断を受け、「重症度分類等」にてらし合わせた上で決定されており、そのため病状の程度が一定以上の方が対象となります。

 

さらに疾病によって診断基準と重症度分類が決まっており、それぞれの指定難病に応じて日常・社会生活になんらかの支障があると医学的に判断される程度の方が対象者として想定されています。

 

【333疾患】が指定難病に指定

特定医療費制度の対象となる疾患は333疾患あり、難病情報センターのホームページでは難病指定されている疾患を検索することができます。

 

特定疾患に罹患していて都道府県や指定都市に医療費助成の対象として認定されると「特定疾患医療受給者証」が交付されます。

 

ではどのくらいの方が特定医療費制度の対象となっているのかというと、令和元年度衛生行政報告例によると令和元年度末時点で特定疾患医療費受給者証を持っている方の数は946,110人となっています。

疾患別の受給者数を多い順にみてみると、以下の通りです。

①パーキンソン病関連疾患(151,202人)
②潰瘍性大腸炎(126,603人)
③全身性エリテマトーデス(61,835人)

また、これらがどのような疾患なのかは以下を参照ください。

【パーキンソン病関連疾患】
・進行性核上性麻痺:脳の中の大脳基底核、脳幹などの部分の神経細胞が減り、転倒しやすくなる、飲み込みにくいといった症状がみられる病気
・大脳皮質基底核変性症:脳の中の大脳皮質と皮質下にある神経核の神経細胞が減り、ボーッとするようになったり、手の使いにくさなどの症状がみられる病気
・パーキンソン病:中脳にある特定の神経細胞が減り、ふるえや動作緩慢、筋肉が強張る、転びやすいなどの症状がみられる病気

潰瘍性大腸炎】
・大腸の粘膜にびらん(ただれ)や潰瘍(粘膜や皮膚の表面が深いところまで傷ついた状態のこと)ができる大腸の炎症性疾患

【全身性エリテマトーデス(SLE)】
・発熱や疲れやすさ、皮膚症状などの様々な症状が全身に現れる自己免疫疾患

上記に挙げた疾患は指定難病のごく一部ですが、今後も厚生労働省科学審議会・疾病対策部会の指定難病検討委員会において対象となる指定難病の追加などが検討されていく予定です。

 

指定医療機関で受けた医療費の一部が助成される

特定疾患の認定を受けると原則都道府県や指定都市が指定する医療機関で受けた医療にかかる費用の一部が助成されます。

 

ここでいう指定医療機関とは、

・病院・診療所
・薬局
・訪問看護ステーション

をさしており、訪問看護ステーションのぞみも指定医療機関として登録されています。

ではどの医療機関が指定医療機関になっているのかというと、難病情報センター「都道府県・指定都市別「難病指定医療機関」一覧」などで検索できます。

 

さらに群馬県内の指定医療機関を調べるなら「指定医療費(指定難病)における指定医及び指定医療機関について」のホームページが参考になります。

 

そこでは群馬県内にある指定医療機関である病院や診療所、薬局、訪問看護ステーションなどの一覧が閲覧できます。

特定医療費制度の申請をするときには「臨床調査個人票」(診断書)という難病指定医や協力難病指定医に作成を依頼する書類もあり、そうした医師も上記の群馬県ホームページの一覧で確認可能です。

 

医療費助成の対象範囲や内容も決まっている

指定医療費制度の対象者として認定されたら、医療にかかる費用のすべてが助成されるわけではありません。

 

制度では医療費の助成となる対象範囲や内容が以下のように決まっています。

①指定医療の範囲 
指定難病およびその指定難病に付随して発生する傷病に関する医療

②支給対象となる医療の内容
・診察
・薬剤の支給
・医学的処置、手術およびその他の治療
・居宅における療養上の管理およびその治療に伴う世話その他の看護
・病院または診療所への入院およびその療養に伴う世話その他の看護

③支給対象となる介護の内容
・訪問看護
・訪問リハビリテーション 
・居宅療養管理指導(医師などが自宅に訪問し療養に必要な管理指導を行う)
・介護療養施設サービス(介護療養型医療施設の療養病床等に入院する要介護者に対する医療)
・介護予防訪問看護(要支援者へのサービス)
・介護予防訪問リハビリテーション 
・介護予防居宅療養管理指導
・介護医療院サービス

(引用:難病情報センター FAQ 代表的な質問と回答例

医療費助成の留意すべき一例として入院中の食事や鍼灸・按摩(あんま)・マッサージなど医療費助成の対象に入らないことなどが挙げられます。

 

特定医療費制度を利用する方法とポイント

ここからは特定医療費制度の申請方法や利用についてポイントを解説します。

 

保健福祉事務所・保健所に必要書類を提出する

まずはじめにすべきことは制度への申請ですが、特定医療費制度をあらたに受けるには住所地にある保健福祉事務所か保健所で申請手続きをして、制度の対象となるか審査を受ける必要があります。

 

嬬恋村・長野原町・草津町にお住まいの方の書類提出先は吾妻保健福祉事務所です。

主な必要書類は以下の通りですが、詳細は管轄事務所などへご確認ください。

特定医療費(指定難病)支給認定申請書(新たに申請する場合)
臨床調査個人票
(指定医に作成を依頼した診断書のこと。指定難病に罹患していることや一定程度の症状であるかを確認する)
・世帯全員の住民票
・保険証のコピー
・同意書
・世帯状況調書

以下は必要時のみ
・世帯内にほかに特定医療費(指定難病)受給者または小児慢性特定疾病受給者がいることを証明する書類
・医療費申告書(軽症高額の要件に該当する人)
軽症高額該当者:指定難病の診断基準は満たすが重症度分類など満たさない人
・申請者の所得状況がわかる書類

申請書や指定医師の診断書、世帯状況調書など疾病や世帯状況に関する書類が求められており、これらの申請書類をもとに手続きが行われます。

 

具体的な手続きは都道府県や指定都市で異なるため、住所地管轄の保健事務所または保健所などに確認しながら手続きを進める必要があります。

 

都道府県や指定難病審査会などで審査が行われる

必要書類をそろて申請すると都道府県や指定都市による審査が行われます。

・臨床調査個人票(診断書)をもとに診断基準とてらし合わせながら、指定難病であるかどうか

・重症度分類などとてらし合わせて、病状の程度が一定程度であるかどうか

主にこれら2点が確認できると医療費助成の対象と認定されるわけです。

仮に上記の状態が確認できなかった場合、つぎは都道府県や指定都市に設置されている指定難病審査会で審査がおこなわれます。

 

指定難病審査会において再度、医療費助成が受けられる対象と認定される方もいれば、認定基準に該当しないものの高額な医療の継続が必要になる「軽症高額該当者」として医療費助成の対象になる場合もあります。

高額な医療の継続が必要な状態とは?:医療にかかる費用の総額が月に33,330円を超える月が支給認定を申請する月以前の12ヶ月以内に3回以上ある場合のこと

 

このように特定医療費制度の申請、審査の手続きをへて医療受給者証が交付されるまで3ヶ月ほどかかるといわれています。

 

支給認定の有効期間は【原則1年以内】

特定医療費制度の対象として認定を受けたらその後ずっと認定され続けるわけではなく、有効期間は原則1年以内となっています。

 

この1年以内というのは、病状の程度や治療の状況などから医療を受けることが必要であると考えられる期間をさしています。

しかし原則1年以内と有効期間が決まっていても特別な事情があるときには1年3ヶ月まで期間を定めることも可能です。

 

さらに有効期間を過ぎても治療の継続が必要な場合は更新の申請をおこないますが、ほかにも更新申請が必要なケースとして申請内容や指定医療機関、負担上限月額、指定難病の名称を変えるときなども挙げられます。

 

【要確認!】特定医療費制度の自己負担上限額

(引用:群馬県 特定医療費(指定難病)制度について

さて特定医療費制度について最も気になるのが「どのくらい医療費が助成されるのか?」ではないでしょうか。

 

まず知るべきは「特定疾患の治療にかかった費用のすべてが助成されるわけではない」ということです。

特定医療費制度ではひと月に個人が負担する費用の上限額が決まっており負担額を超えた分の医療費は支払う必要はない(=医療費の助成を受ける)という仕組みになります。

 

そして、それぞれ自己負担額の上限も所得によって決まっています。

 

また上表の患者負担割合の項目にあるように「高額かつ長期」とは月の医療費総額が5万円を超える月が1年に6回以上あることをさしており、一般所得〜上位所得の方は負担が通常よりも軽減される仕組みになっています。

一般的な自己負担割合や「高額かつ長期」の場合の自己負担割合とはことなり、人工呼吸器を装着している方の負担上限額は所得にかかわらず月額1,000円の設定となっているのも特徴です。

 

ここでも再度注意すべきは、それぞれ所得により自己負担割合は決まってはいるものの、入院時の食費は全額自己負担であること、指定医療機関で受けた医療以外は原則医療費助成の対象にならないことなどが挙げられます。

 

【自己負担上限額管理票】で自己負担額を管理

(引用:群馬県 特定医療費(指定難病)制度について

月の自己負担額は、医療受給者証と一緒に配布される「自己負担上限額管理票」を使って患者自身が管理をする必要があります。

 

上限額管理票を利用する上でのポイントは以下の通りです。

・患者は指定医療機関(病院・診療所・薬局・訪問看護ステーション)を利用するたびに支払った医療費の額を管理票に記入してもらう。

・指定医療機関は受診ごとに自己負担上限月額の範囲内において医療費の2割または1割を徴収する。

・月の自己負担の累積額が自己負担の上限額に達した場合、指定医療機関が確認をし自己負担上限額を超える費用は徴収されない。

少しややこしい部分かもしれませんが、通院時や訪問看護を受ける際に医療機関側に上限額管理票を毎回提示して医療機関名や負担額など内容を記入してもらう形になります。

 

そして月の上限負担額に達したら、それ以降の費用は支払う必要がなくなります。

 

自己負担額管理票の様式も都道府県や指定都市によって様々ですが、特定医療費制度の対象者はこの管理票を通院や治療を受けるごとに管理し、紛失などしないようにすることが大切です。

 

おわりに

今回は医療費助成が受けられる特定医療費(指定難病)制度について、おもに基本的な部分を解説しました。

 

指定難病に罹患している患者さんは特定医療費制度を利用することで経済的な負担の軽減が期待できます。

「自分が特定医療費制度の対象となるのか分からない」
「特定医療費制度についてもっと詳しく知りたい」

という方は、お住まいの都道府県や指定都市、管轄の保健福祉事務所や保健所などの情報を参考に問い合わせをしてください。

 

嬬恋村をふくめ群馬県にお住まいの方は群馬県ホームページ嬬恋村長野原町、草津町役場などの情報を確認していただければと思います。

訪問看護ステーションのぞみも特定医療費制度の指定医療機関となっております。

 

特定医療費制度にかかわること、訪問看護や介護などについてご質問がありましたら、こちらよりお気軽にお問い合わせください。

訪問看護ステーションのぞみ

参考サイト
群馬県「特定医療費(指定難病)医療給付」
厚生労働省 平成26年衛生行政報告例の概況 結果の概要「特定疾患(難病)関係」

※本コンテンツは看護師監修のもとページ公開時の調査、情報などに基づき記述されたもので正確性や安全性を保障するものではありません。最新の内容は各専門機関の情報をご確認いただきますようお願い致します。本コンテンツの情報により発生したトラブル、損害、不測の事態になどについては当社は一切の責任を負いかねますのであらかじめご了承下さい。
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