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【訪問介護】具体的にどんな仕事?費用はどのくらいかかるの?

 
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群馬県嬬恋村にある訪問看護ステーションのぞみです。2015年7月に開業しました。訪問対象地域は嬬恋村・長野原町・草津町です。雄大な浅間山がある自然豊かなこの地域で「自分らしく生きたい」と願うご利用者の療養生活やそれを支えるご家族の支援を主治医の指示のもとで行っています。
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こんにちは。訪問看護ステーションのぞみです。
(@houkan_nozomi)

 

さて前回に引き続き、訪問介護についてのお話です。

 

訪問介護の詳しい仕事内容や費用がどのくらいかかるのかが気になります。

読者さん

訪問介護の仕事内容は決まっていて、費用も介護度や世帯収入などによって違ってくるんですよ。

管理者前田

今回は訪問介護の仕事内容や訪問介護など介護保険サービスにかかる費用などまとめました。

 

訪問介護の仕事はおもに3つに分類される

訪問介護とは、資格のある訪問介護員(ホームヘルパー)が介護が必要な高齢者がいる家庭を訪問して、入浴や排泄・食事などの介護や調理や洗濯・掃除などの家事を提供することをいいます。

 

さらに訪問介護の仕事を分類すると、以下の3つになります。

・身体介護(からだに直接触れるケア)
・生活援助(日常生活の支援)
・通院などの乗降介助

次にそれぞれの仕事内容をご紹介します。

 

身体介護:体に直接ふれて行う介護のこと

「身体介護」とはおもに食事や排泄、入浴などご利用者の体に直接ふれて行われる介護のことです。

 

おもに以下のようなケアが含まれます。

・食事介助
・入浴介助(清拭・部分浴・全身浴など)
・身体整容の介助(着がえなど)
・トイレへの移動や動作の介助
・おむつ交換
・体位交換(床ずれ予防など)
・移乗介助
・服薬介助
・起床・就寝介助
・健康状態のチェック

これらのケアはご利用者の日常生活動作能力(ADL)や生活意欲向上をはかるための自立支援サービスとして、訪問介護員が「専門的知識や技術」をつかって提供されます。

 

生活援助:日常生活を支えるサービスのこと

「生活援助」とは体に直接ふれる「身体介護」以外ご利用者が生活に必要な家事をおこなうことが難しい場合に提供されるサービスのことです。

 

たとえば、ご利用者が独り暮らしである、同居家族に障害・疾病があるため本人や家族が家事を行うことが難しいといった場合に生活援助サービスが提供されます。

 

具体的には以下のようなサービスが含まれます。

・掃除(居室内や卓上、ゴミ出しなど)
・洗濯(衣類の洗濯、干す、たたむ、整理など)
・買い物(日用品の買い出しなど)
・調理(一般的な調理、配膳、かたづけなど)
・環境整備(換気やベッドメイキングなど)
・相談援助・情報収集や提供
・サービス提供後の記録など

このうち最も利用数が多いのは掃除や洗濯・調理で、実際にこれらの生活援助サービスを利用している方も多いはずです。

 

生活援助サービスのご利用者には要介護1や要介護2の方が多いのも特徴で、80歳以上の方や高血圧や筋骨格の病気がある方、または認知症をわずらっている方の利用が多いといわれています。

 

さらに介護度がより高くなると訪問介護での生活援助サービスの利用は少なくなり、前述の身体介護サービスの利用が増える傾向があります。

 

通院のための乗降介助

最後に、訪問介護に含まれるサービスとして「通院のための乗降介助」があります。

 

訪問介護が必要なご利用者が病院などに通院をする時に主に利用することが多く、指定訪問介護事業所の訪問介護員などが車への乗車と降車の介助をし、サービスには乗車する前や降車後の移動の介助なども含まれます。

 

さらに外出した先の病院などで受診の手続きや移動の介助、薬などの受け取りも支援してくれます。

 

通院など乗降介助サービスをまとめると、以下のようになります。

・自宅から車に乗るまでの介助
・病院に着いて車から降りる介助
・院内までの移動や受診などの手続き
・受診後車に乗り自宅で降車するまでの介助
・薬などの受け取りなど

ここで注意したいのは、自宅から病院・病院から自宅までの輸送(車移動)は「輸送サービス」となり、移動にかかる経費(運賃)は介護保険の対象にはならないことです。

 

そのため移動にかかる経費は別途支払う必要があります。

 

また訪問介護事業所などがご利用者に輸送サービスを提供するには、道路運送法上の許可や登録が必要になるため、訪問介護事業所にサービスを依頼する場合には事前に「乗降介助サービスが利用できるか」を確認をしておくと安心です。

 

【注意】訪問介護に含まれないサービスは受けられない

訪問介護はご利用者が自宅で自立した生活を送れるよう支援するものですが、ご利用者が希望するサービスが何でも受けられるものではありません。

 

訪問介護に含まれないサービスは当然受けられないことを事前に知ることも大切です。

 

以下のようなサービスは訪問介護サービスには含まれないため受けられません。

・利用者への直接的な援助ではない行為
 例:同居している家族のための家事(食事作り)や子供の面倒、来客の対応など
・日常生活の援助の範囲を超えている行為
 例:大掃除、庭の草むしり、ペットの世話、窓ガラス拭き、正月の準備、家具の修理など

必要な介護や家事援助をしてくれる訪問介護員に対し「ヘルパーさんなら何でもやってもらえるかも」と思うこともあるかもしれません。

 

しかし訪問介護は原則、利用者本人だけを対象としたサービスであり、提供できるサービス内容も決められています。

 

さらに医師や看護師でないと実施できない専門的な医療行為や処置(インスリン注射・経管栄養・点滴・摘便・床ずれの処置など)も訪問介護では受けることができません。

 

これらのことを訪問介護を利用する前に事前に知っておくことで、訪問介護員との良好な関係を築くことにもつながります。

 

ただし訪問介護で受けられないサービスでも「保険外サービス」として全額自費で提供している事業所もあります。

 

訪問介護でカバーされない部分を補う保険外サービスを希望する場合は、情報を収集し担当ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談することをおすすめします。

 

気になる!介護保険サービスの費用

要介護・要支援者として訪問介護などの介護保険サービスを使うと、その対価が「介護報酬」として介護事業者に支払われます。

 

介護報酬には「自己負担額」と「介護給付」があり、利用者はこの自己負担額の部分を支払わなければなりません。

 

ほとんどの利用者が支払う自己負担額は介護保険サービス利用料全体の1割程度で、残りの介護給付の部分は介護保険制度が負担しています。

 

その財源の構成として、

・介護保険料:50%
・国の負担額:25%
・都道府県の負担額:12.5%
・市区町村の負担額:12.5%

となっています。

 

所得により自己負担額が2割や3割になる人もいる

前述のように介護保険サービスを使ったときの自己負担額は、多くの場合1割負担になります。

 

しかし現役並みの所得がある高齢者は、自己負担割合が1割ではなく2割や3割になる人もいます。

 

これまでの制度では一律1割負担であったものの、介護保険制度を今後も維持し、かつ公平さを保つためにも所得がある高齢者への負担が引き上げられたわけです。

 

たとえば65歳以上で独り暮らしをしている場合、年金とそのほかの合計所得額が年間280万円以上340万円未満の場合は2割負担になります。

 

さらに年金とそのほかの合計所得額が年間340万円以上の場合は、3割負担となっています。

 

(夫婦の場合:合計所得額が346万円以上で2割、463万円以上で3割負担)

 

要介護や要支援度により利用限度額が異なる

訪問介護など在宅での介護サービスを受ける場合、要介護や要支援度によって利用できるサービスの種類や内容・自己負担額などが異なり、1ヶ月単位で利用できる利用限度額も違いがあります。

 区分 支給限度基準額 利用限度額 自己負担限度額(1割)
要介護1 16,765単位 167,650円 16,765円
要介護2 19,705単位 197,050円 19,705円
要介護3 27,048単位 270,480円 27,048円
要介護4 30,938単位 309,380円 30,938円
要介護5 36,217単位 362,170円 36,217円
要支援1 5,032単位 50,320円 5,032円
要支援2 10,531単位 105,310円 10,531円

たとえば要介護1の支給限度基準額(利用限度額)は1ヶ月167,650円なので、この範囲のなかで目一杯サービスを使ったとしても1割負担の利用者は、月16,765円の負担となります。(1単位10円の場合)

 

実際に使うことのできる利用限度額やサービス料金(介護報酬)は1単位10円が基本となっていますが、地域によって単価は異なります。

 

一つの介護(介護予防)サービスに対して要介護度別、要支援度別に利用額が決められており、利用するサービスの種類や利用回数が増えるほど総額が大きくなってきます。

 

さらにケアマジャーや地域包括支援センターの職員が作成したケアプランに沿ってサービスを受けるため、「介護保険サービスを際限なく使いたい!」と思っても介護サービスを好きなだけ使えるわけではありません。

 

それぞれの要介護・要支援度によって「区分支給限度額」が決まっており、利用限度額を超えた費用は全額自己負担(10割)となることも覚えておきましょう。

 

訪問介護の自己負担額の目安はどのくらい?

では実際に訪問介護を自宅で受ける場合、どのくらいの自己負担額になるのか気になるところですよね。

 

居宅介護サービスのうち訪問介護(ホームヘルパー)を利用した場合の自己負担額(1割)は以下のようになります。

身体介護がメインの場合(1単位10円の地域)
20分未満 167単位(167円)
20分以上30分未満 250単位(250円)
30分以上1時間未満 396単位(396円)
1時間以上 579単位(579円)
 以降30分増すごとに84単位(84円)

生活援助がメインの場合
20分以上45分未満 183単位(183円)
45分以上 225単位(225円)

通院など乗降介助がメインの場合
99単位 (99円)

訪問入浴介護
1256単位 (1256円)

※2021年4月時点

上記の費用は介護保険1割負担のケースですが、2割や3割負担になると1割負担費用の2倍、3倍と費用も変わります。

 

さらに、介護サービス料以外に通所介護時の食事代やおむつ代、日常生活費などは別途実費(全額自己負担)になることも押さえておきましょう。

 

【事前に確認】他に加算される料金もある

訪問介護だけに関わらず介護保険サービスを利用する場合、手厚いサービスを受けたり、体制の違いなどによってそれぞれ料金が加算されることがあります。

加算される料金は主に以下があります。

・時間外で受けた介護保険サービス
 夜間(午後6〜10時)早朝(午前6〜8時):25%の割増
 深夜(午後10時〜午前6時):50%の割増
・利用者個別の状態に応じた介護保険サービス
 例)身体介護に続いて生活援助の提供を受けた場合など
・緊急時の対応
・中山間地域などでの介護保険サービス

・リハビリテーション職との連携 など

加算される料金については、介護保険サービスを契約する時などに地域包括支援センターの担当者やケアマネジャーに事前に確認しておくと安心です。

 

在宅介護の費用は一人当たり平均5万円

介護保険サービスにかかる費用を考えると「家計への負担が心配…」と思われる方もいるかもしれません。

そんな時は介護保険にかかる大体の費用がわかると心の負担はだいぶ軽減されると思います。

 

そこで一つの参考になるのが在宅介護にかかる費用の目安です。

家計経済研究所が行った2016年の調査では在宅介護にかかる費用が報告されています。

 

在宅介護にかかる費用には以下があります。

介護保険サービスを受けるのに必要な費用
 (訪問介護やデイサービスの利用など)
介護保険サービス以外にかかる費用
 (医療費や食事・おむつ代など)

この2つの費用を合計した額として、在宅介護では1人あたり月に平均で50,000円となっています。

 

このうち介護保険サービス費用は全体平均で16,000円、介護保険サービス費用以外の全体平均は34,000円です。

 

さらに介護保険サービス費用は要介護3の方が最も多く(25,000円)、介護保険サービス以外の費用では要介護5の方が最も多い(53,000円)と報告されています。

 

これらはあくまでも統計上のことですが、在宅介護にかかる月の費用概算がわかると心理的な負担もだいぶ少なくなるでしょう。

 

自己負担額が高額、所得が低い場合には負担を軽減する制度がある

介護保険サービスの自己負担額が1割負担であっても、とくに夫婦で介護保険サービスを使う場合、毎月かかる費用が高額になる場合もあります。

 

その場合、支払った自己負担額の一部費用が払い戻しになる「高額介護サービス費」「高額医療・高額介護合算制度」があります。

高額介護サービス費
・1ヶ月に支払う自己負担分の合計額が一定の上限を超えたとき、申請をすると上限を超えた分が払い戻される
・上限額は対象者によって5段階で決められている
・負担上限額は個人・世帯によって15,000円〜44,400円

高額医療・高額介護合算制度
1年間に支払った医療保険介護保険での自己負担の合計額が上限を超えた場合、超えた分が払い戻される
・世帯の収入や医療保険の区分によって自己負担限度額は異なる

これらの制度を利用することで、家計への負担がかなり軽減されるはずです。

 

該当する方は、お住まいの市区町村役所ヘの申請が必要になります。

 

訪問介護の仕事やかかる費用を知り上手に利用しよう!

訪問介護と一言でいっても仕事の内容もさまざまで、介護度や在宅環境によって受けられる介護保険サービスの内容や費用もそれぞれ異なります。

 

個人や世帯収入によっても自己負担額が違ってくるため、「なんだかややこしいから介護保険サービスは使いたくない」と思われる方もいるかもしれません。

 

しかし、病気や障害などで自宅での介護や手助けが急に必要になることは誰にでも起こり得ることで、その時は介護保険サービスが自宅での生活を支える、頼りになるサービスであることは間違いありません。

介護保険サービスを利用者に提供する、事業所や介護に関わる職種の方々は「介護のプロ」です。

 

とくに訪問介護では自宅に他者が入ってくるのに抵抗があるという方も、介護職の方々の仕事に対する姿勢や介護技術を目の当たりにしたり、実際にサービスを利用することで自分の生活環境が改善されるのを実感したりすることで「訪問介護を受けてよかった」と思えるはずです。

 

一方でサービスを利用する側としても「訪問介護サービスは家のお手伝いさんではない」ことを理解したうえで、介護保険で受けられるサービスと受けられないサービスを区別して接することも、良い関係を構築していく上では欠かせません。

訪問看護ステーションのぞみのご利用者の方々も、嬬恋村や周辺地域の介護事業所が提供する訪問介護や関連サービスを上手に利用されています。

 

介護保険サービスの利用で支援や相談が必要な時には、担当ケアマネジャーや地域包括支援センターの職員などがしっかりと支援してくれるので安心です。

 

訪問看護ステーションのぞみも訪問介護や他サービスなどで介護事業所や他機関とつねに連携をしていますので、知りたいことや分からないことなどがあればいつでもお気軽にご相談ください。

訪問看護ステーションのぞみ

参考サイト
厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索
国立研究開発法人森林総合研究所 男女共同参画室 平成28年3月 「介護のためのガイドブック」
厚生労働省「介護報酬の算定構造(令和3年4月施行版)」
公益財団法人 家計経済研究所 在宅介護のお金と負担 2016年調査
※記事内容は公的機関の掲出物ではありません。記事を掲載した時点の情報にもとづき作成しておりますが最新の情報を保証するものではないことをご了承ください。なお記事中の法的見解等についての責任は一切負いかねます。所管の自治体窓口やその他専門家にご相談ください。

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