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地域でその人らしい生活を支援する「認知症訪問看護」とは?

 
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群馬県嬬恋村にある訪問看護ステーションのぞみです。2015年7月に開業しました。訪問対象地域は嬬恋村・長野原町・草津町です。雄大な浅間山がある自然豊かなこの地域で「自分らしく生きたい」と願うご利用者の療養生活やそれを支えるご家族の支援を主治医の指示のもとで行っています。
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こんにちは。訪問看護ステーションのぞみです。(@houkan_nozomi)

 

前回の記事では認知症に見られる症状や原因についてお話しました。

前回の記事:認知症に見られる症状や原因とは?どこに相談すればいいの?

 

そこで今回は、

認知症の方への訪問看護では

どんな看護をしているの?

読者さん

という疑問にお答えします。

 

認知症訪問看護とは?

認知症訪問看護とは、住み慣れた自宅や地域生活をする認知症の方を、看護や介護を通じて支援する訪問看護のことです。

 

認知症の進行の具合や自宅での生活状況、周りからのサポート、そして何より安全に自宅や施設などで生活されているかどうかを観察し、その方らしい生活が継続できるように支援を行います。

 

生活の質の維持や改善につながるように生活の支援を続け、そして認知症の方への直接的なケアだけでなく、関わるご家族や介護者が感じることもある精神的・身体的な負担の軽減を図る働きかけをするも認知症看護の目的となっています。

 

一人暮らしをされている場合には、ご本人が病気の症状を正しく理解することが難しい分、普段どのような生活をしているのか、困っていることはないか、気になる体の症状はないかなど、具体的な情報が得にくいこともあります。

 

そのようなときこそ、担当ケアマネージャーや訪問介護ヘルパー、地域包括支援センターなど他職種と情報共有や連携を行い、医療・福祉がそれぞれどのように生活のサポートに関わればいいのか、試行錯誤をしながらケアプランを練っていきます。

 

さらに、訪問看護にうかがえる時間は限られていますので、短い訪問時間の中でいかに病状や生活状態を正確に把握・分析して適切な支援を提供できるのかも認知症訪問看護のポイントになっています。

 

在宅で過ごす認知症の方にとって難しい生活行為とは?

では、実際に認知症の方が在宅で過ごすとき、どんなことに困っているのでしょうか。

在宅で過ごす認知症のケアに関わったことがある看護師への調査を行った研究を元に見ていきます。[※1]

 

生活行為の中で最も難しいのは「自分の意思の表現」

Nurse taking care of an old woman

在宅での認知症者に関わったことがある看護師に対して行ったある調査[*1]では、認知症の方を重度・中等度・軽度に分けて想起し「認知症者にとって最も困難であった生活行為」を挙げてもらいました。

すると、日常生活行為の中で実行が難しい部分として以下のような傾向が見られました。

・目的の場所に行けない

・自分の意思の表現

・薬の管理

・排泄(排便・排尿)

・洗面行為(手洗い・洗顔・歯磨き・義歯洗浄など)

・食事・料理・洗濯・買い物

・着衣や脱衣、履き物を履く

・入浴

・移動・移乗

これらを見ると、私たちが普段何気なく行っていることが、認知症の方にとってはうまくできない行為になり得ることが分かります。

 

認知症の進行度によって難しい行為は異なる

病状の進行を軽度・中等度・重度に分けて考えると、上述した生活行為の難しい部分も異なってきます。

先ほどと同じ研究で、認知症進行度に分けて「最も困難であった生活行為」を3つまで挙げたところ(回答その他・無回答除く)以下のような回答が得られています。

看護師が想定する認知症の方が最も困難になる生活行為

【軽度認知症者】

・薬の管理 48.3%

・自分の意思の表現 16.9%

・目的の場所に行くこと 11.0%

 

【中等度認知症者】

・薬の管理 38.2%

・入浴 15.4%

・食事 14.0%

・自分の意思の表現 14.0%

 

【重度認知症者】

・自分の意思の表現 36.5%

・排便 27.0%

・食事 26.4%

認知症の軽度・中等度の方は、薬の管理ができなくなる傾向が多く指摘されています。

認知症の重症度が上がるにつれ、食事や排泄など基本的な日常生活に関わる動作がしにくくなることもこの調査で推測できるといえるでしょう。

 

認知症で見られる行動・心理症状は?

認知症では、記憶障害や見当識障害(年月日や時間が分からなくなる等)などの「中核症状」のほかにも中核症状によって引き起こされる二次的な症状として「周辺症状(BPSD)」と呼ばれるものがあります

 

在宅で過ごす認知症の方にも、以下のような行動・心理症状が見られることがあります。

・不穏

・大声

・不眠

・徘徊・周回

・攻撃

・帰宅欲求

・暴力

・抑うつ状態

・幻視

・物とられ妄想

・服薬拒否 など

認知症の進行度やこれまでの性格・生育環境などによって症状の現れ方は異なりますが、症状が現れる原因には本人が感じる不安があることが多いと言われています。

 

そのため、ある特定の行動・心理症状に対して「なぜそうしてしまうのか」「今どんなことに不安を感じているのか」の原因を推測して、原因に対処する必要があります。

 

ときに上述のような行動・心理症状があるとケアする側も対処に戸惑うこともあります。

 

しかし、まずはケアを提供する側が認知症の方を心理的にも受け入れ、思いや訴えを傾聴して信頼関係を築くことが大切です。その上で、相手にストレスを与えないような関わりが求められます。

 

認知症訪問看護で気をつけていること

認知症訪問看護では、それぞれの利用者の症状や生活状況に合わせたケアが必要です。

 

訪問看護ステーションのぞみでも開業以来、認知症の方への訪問看護を継続して行っています。

 

ここでは基本的な看護の視点以外で、認知症訪問看護において普段から気をつけているポイントを挙げていきます。

 

処方薬の服用を確認する

認知症の方は認知症に対して処方された薬以外にも内科薬など何種類かの薬を同時に服用されている方も多いです。そのため、内服薬を忘れずに服用できているのかの確認は認知症訪問看護では欠かせません。

 

認知症に対する認識が不十分なため、ご自身で薬の服用管理ができない方も多く、なかには糖尿病などの薬も服用されている方もおり、服用できていないことが認知症以外の身体疾患の病状にも影響することがあります。

 

ご家族と同居されている方は、家族に薬の管理を依頼することもありますが、一人暮らしだとそうはいきません。

 

そのため、訪問ごとに薬をお渡しして飲んでもらう、訪問がない日は薬を日にちごとに分かりやすくボックスなどに分けてセットする、「内服カレンダー」を利用する、別時間に自宅に訪問する訪問介護ヘルパーに内服の声かけをお願いするなど、いろいろな工夫を行っています。

 

また処方薬の種類や数が多い場合には、通院先の病院にも相談し、複数ある薬を飲みやすく一包化するなど依頼することも、薬の飲み忘れを防ぐ効果的な方法でもあります。

 

栄養状態(水分・食事が摂れているか)をアセスメントする

1日に必要な水分や食事がきちんと摂取できているかを観察・分析するのも、認知症訪問看護で気をつけているポイントです。

 

認知症が進行すると細かい作業の一つである料理が難しくなり、十分な食事が摂れず体の栄養状態が悪くなることがあります。

 

食事と同様に水分の摂取も少なくなり、とくに夏場には気づかないうちに脱水症状を起こしやすい状態になっていることもあるのです。

 

そのため訪問した際には、食事の様子を伺いながら、台所や食卓(了承を得て冷蔵庫内も)の状況を確認し、食材の残りや食べ終えた食器などから食事がきちんと摂れているかを推測していきます。

 

またよく見られるのが食材を購入したものの、すぐに料理に使うことができずに容易に古くさせてしまうことです。食品管理が難しくなるのも認知症の方に見られる傾向です。

 

その場合には「古くなった食材は誤って食べると健康に害がある」とお伝えし、本人に確認しながら食材を破棄することもあります。

 

食事作りや買い物が難しい方には、訪問介護サービス(調理)や配食サービスを勧めることが多いかもしれません。

 

清潔ケア(洗面・更衣・入浴など)が行えているかアセスメントする

認知症の症状が進むと、だんだんと洗面や更衣、入浴などの生活動作が行えなくなるケースもあります。

 

そのため、訪問時には洗面や入浴は行えているか、更衣はできているかなど直接伺うこともあれば、全身状態を観察して判断することもあります。

 

デイサービスに通所している方はそこで入浴を済ませることができるものの、デイサービスを利用していない方や、何かのきっかけでデイサービスでの入浴を拒否されることが続く方には、訪問看護や訪問介護で体の清拭や更衣を行います。

 

「面倒くさい」「今日はしたくない」と時に清潔ケアを拒否されることもありますが、無理強いはせず本人の思いを聞きながら少しずつ働きかけ、なんとか清潔ケアを実施するのも訪問看護師の力量によるところが大きいでしょう。

 

うまく伝えられない思いや不安がないか

認知症の方の中には、自身の思いや不安をうまく相手に伝えることができない方もいます。

 

認知症訪問看護では、とくに本人の表情や言葉、仕草などから伝えられない思いや不安がないかを観察していきます。

 

ときには訪問看護師の言動が自分の思いに沿わないことだと感情が不安定になったり、他者の行動や言葉に対し批判的な態度を取られる方もいますが、まずは十分に本人の思いを聞き、そのような行動を引き起こす不安が何かを分析し、対応するよう心がけています。

 

病状によっては辻褄の合わない言動が見られることもありますが、本人の言動を否定したりせず、よほどのことがなければ本人のペースに合わせた行動をとるのも認知症訪問看護にとっては大切な姿勢であるといえるでしょう。

 

身の回りの安全確保や自宅の管理などが行えているか

症状が進むと室内の整理や自宅管理が難しくなる方もいます。

 

訪問看護時には、そうした傾向を踏まえて生活環境もチェックしていきます。

 

転倒の危険性のある家具の配置はないか、火気や戸締りが行えているのかなどが安全な生活環境を確保するための大切なポイントになります。

 

医療・福祉サービス関係者がサービスで訪れる回数が多くなるほど、本人の生活状況を確認・把握しやすくなるため、常に他職種と連携し問題には早期に対応することを心がけています。

 

 

さて、今回取り上げた認知症訪問看護のポイントは一部ですが、訪問看護師としての関わり方も認知症の方の病状や性格、生活行動にもよって異なります。

 

どのように関わることがその人らしい地域での生活を支えることに繋がるのか、日々考えながら訪問看護を行っていると言えるでしょう。

 

ただ、どの認知症訪問看護の場面でも、なるべく声かけは分かりやすくすること、一度に多くの動作を要求しないこと、看護師によって対応が大きく異ならないように関わり方をなるべく統一するなどの工夫も、認知症の方を混乱させない対応として重視しています。

 

まとめ

今後、高齢化がますます進み、在宅で過ごす認知症の方も増えていくことが予測されます。

 

どのような病気があっても、住み慣れた自宅や地域でその人らしい生活が過ごせるように支援するのが訪問看護の役割です。

 

認知症の方への訪問看護も同じく、訪問看護ステーションのぞみでは「認知症」というフィルターだけを通して関わるのでなく、その方がこれまで歩んできた人生に関心を持ち、相手の尊厳を守りながら、本人がのぞむ生活が送ることができるよう、支援を続けることができればと思っております。

 

群馬県嬬恋村にある訪問看護ステーションのぞみでは、在宅で生活をする認知症の方への訪問看護も行っております。

訪問看護についてご質問がありましたら、こちらよりお気軽にお問い合わせください。

訪問看護ステーションのぞみ

参考文献・サイト

杉下守弘他;「精神状態短時間検査-日本版(MMSE-J)の妥当性と信頼性に関する再検討」,認知神経科学Vol.18,N0.3-4,2016

[*1]公益財団法人日本訪問看護財団「在宅認知症のステージごとの生活障害と行動・心理症状に応じたケアガイドの開発」調査研究事業報告書

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