訪問看護ステーションのぞみの特徴【精神科訪問看護】とは?
こんにちは。訪問看護ステーションのぞみです。(@houkan_nozomi)
今回は訪問看護ステーションのぞみの特徴の一つである「精神科訪問看護」についてです。
精神科訪問看護ではどんな看護が行われているのでしょうか?
ご利用者
精神科訪問看護では、精神疾患をお持ちのご利用者が自立して自宅や施設で継続して生活ができるようにサポートを行っています。
管理者前田
今回は精神科訪問看護について詳しく説明していきます。
精神科訪問看護の対象者は?
精神科訪問看護を受ける対象者となるのは精神科の病気を持ち、病院に入院していない方とそのご家族です。
訪問看護ステーションのぞみも開業当時から精神科訪問看護を積極的に行なっており、精神科疾患である統合失調症、うつ病などをお持ちの方がお住まいの自宅や施設へ訪問を続けています。
精神科訪問看護を受ける対象者の方で多いのが統合失調症やうつ病の方ですが、他にも以下のような精神科疾患を抱える方も訪問看護の対象となります。
- 認知症
- アルコール依存症(大量のお酒を長期に渡り飲み続ける)
- パニック障害・不安障害(原因不明の苦しさや不安に襲われる)
- 強迫性障害(強い不安やこだわりで生活しづらくなる)
- 摂食障害(拒食症・過食症など)
- 知的障害(知的発達の障がい)
- 広汎性発達障害(自閉症)
また精神科訪問看護では疾患をお持ちのご本人だけでなく、本人を支えるご家族も対象になることも大切なポイントになります。
精神科訪問看護を行う看護師とは?
精神科訪問看護は、訪問看護を実施している病院や事業所に勤務する看護師であれば誰でも行えるものではありません。
精神疾患を理解して適切な訪問看護が行えるように、精神科看護について「相当の経験」があることが看護師に求められます。
ここでいう相当の経験とは以下をさします。
- 精神病棟や精神科外来に1年以上勤務したことがある
- 精神科訪問看護の経験が1年以上ある
- 精神保健福祉センターや保健所などで精神保健に関する業務を1年以上従事したことがある
- 精神科訪問看護の研修(アセスメント・早期発見・危機介入など)を終了している
看護師としてこれらの経験があれば相当な経験があるとみなされ、精神科訪問看護を行うことができます。
看護師以外の職種、たとえば保健師や准看護師・作業療法士などもその対象です。
訪問看護ステーションのぞみでも管理者の前田をはじめ、精神科訪問看護の経験があり、研修を受けた看護師が精神科訪問看護を担当しています。
【在宅】精神科訪問看護はなぜ必要?
自宅で療養する精神疾患をもつ方への訪問看護に対し、こんな疑問を持つこともあるかもしれません。
体の不自由もないし、在宅酸素など医療機器を使っているわけでもないのになぜ訪問看護が必要なの?
読者さん
精神科疾患は脳や心の病気であり、外見からみて病気や障がいがあるか分からない場合が多いです。
また精神科病院から退院しても、一見問題なく生活をしているように伺えることもあります。
しかし精神科の病気では、症状が軽快して退院しても「もう自分は大丈夫」と必要な精神科薬を飲まなくなる、本来は在宅で継続して受けるべき支援が受けられずに孤立してしまう、などで病状を悪化させて再度入院することも少なくありません。
そうした症状悪化や再入院などを防ぐために、精神科訪問看護が必要とされているのです。
【再発・再燃予防】【服薬支援】の大切さ
精神科訪問看護では「再発・再燃予防」と「服薬支援」などを主な柱として支援を行っています。
【精神科訪問看護のポイント】
再発・再燃(再び病状が悪化する)予防
服薬支援
生活支援
受診支援
社会資源活用の支援
これらの支援を通して、ご利用者が不必要な入院をせずになるべく自立した生活が送れるように支えるのが精神科訪問看護の目的の一つといえます。
精神科訪問看護の内容
精神科訪問看護では精神科を掲げる医療機関の医師より「精神科訪問看護指示書」の交付を受けることで訪問看護を実施できます。
では具体的にどのような看護が行われるのか、訪問看護ステーションのぞみでの例を交えながら紹介します。
①退院はしたけど病状が悪化しないか診てほしい
精神科病院に長期間入院していた方や高齢の方など、退院後の環境変化で気持ちや体調が不安定になりやすくなります。
症状として抱えている不安や精神症状(幻聴など)が日常生活の少しの変化で急に悪化することも少なくありません。
精神科訪問看護師は、とくに退院直後の環境変化の程度や精神症状の変化をよく観察・分析して、必要な支援が何かを考えて医師や関連機関と連携しながらサポートします。
同居する家族がいる場合には家族も不安に感じていることも多いため、本人と家族の関係性を鑑みながら療養環境を調整するのも看護師の大切な役割です。
②薬がきちんと飲み続けられるか不安
症状の再発・再燃を防ぐためには必要な精神科薬をきちんと服用することが大切です。
ご利用者のなかには退院後生活リズムが一時的に崩れてしまい、必要な薬を定期的に服用できなくなることもあります。
それらを未然に防ぐために訪問看護師は薬の服用状況を確認したり、次の訪問までの薬を薬カレンダーや薬ボックスにセットしたりして、入院時と同様に自宅でも服薬が継続できるように支援します。
さらに副作用が出やすい精神科薬では副作用の症状がないか、薬の調整が必要なのかも判断し、適宜主治医に報告をして内服薬調整の相談を行うこともあります。
③再度入院はしたくない、自宅で生活を続けたい
症状をコントロールしつつ自宅での生活を続けたいと願うご利用者は多いです。
しかし生活を維持するためには病状悪化を防ぐだけでなく、食生活・活動と睡眠・整容・金銭管理など生活のあらゆる面で一定の生活技術が必要となります。
精神科訪問看護師は、
・適切な食事を準備して摂取できているか
・日中の活動と夜間の睡眠バランスは取れているか
・洗濯や掃除・部屋の整理はできているか
・入浴など体の清潔は保てているか
なども訪問ごとにアセスメントして必要な援助を行います。
家事の方法をアドバイスしたり、食事の準備や買い物が難しい場合には訪問ヘルパーに依頼するなど他機関と連携をとります。
基本的なことですが、ご利用者の衣食住が維持できるように環境調整するのも精神科看護師の大切な仕事の一つです。
④周りとコミュニケーションがうまく取れない
ご利用者の病状により、本人は意図せずとも家族や知人・近所の方々とコミュニケーションがうまく取れなくなることもしばしば起こります。
そのような場合は看護師がコミュニケーション力にどのような課題があるのか見極めて、不足しているスキルが補えるよう対人関係を円滑にするアドバイスも行います。
同居する家族や親戚、仕事場・作業所スタッフなどに本人の病状を理解してもらいながら、その人なりのペースで良い対人関係が築けるようになると、より自立した生活を送る手助けになるわけです。
さらに必要とされる【精神科訪問看護】
訪問看護ステーションのぞみでは開業以来、精神科疾患を持つ方々への訪問看護を行ってきました。
今後さらに在宅医療に期待がかかるなか、精神科訪問看護を行う病院や事業所の数も増えることが予測されます。
統計で見ると精神科に特化した訪問看護ステーションは、平成18年には約5,500ヵ所(全体の約36%)あったものが、平成23年では約6,000ヵ所(全体の60%)となり、平成28年は約9,000ヵ所に増えています。
精神科病院でも訪問看護を実施している病院は平成23年では全体の約83%となっており、平成11年の約66%よりも増えています。
精神科疾患を持つ方が地域で生活できるよう支援する方向へ、医療環境も変わってきているのです。
このように訪問看護ステーションのぞみもご利用者やご家族が望む「地域での生活」が維持できるよう生活に働きかけることで精神や身体状態、取り巻く環境にも良い影響が及ぼせるよう今後も努力していきたいと思います。
訪問看護や介護、精神科訪問看護についてご質問などありましたら、こちらよりお問い合わせください。
訪問看護ステーションのぞみ
※写真はすべてイメージです。